はじめに
鉄道模型を撮影するときは、車輌側面から狙うのが一般的です。
車輌を先頭から狙うと、車輌前面にピントを合わせると車両後部がボケ、車両後部にピントを合わせると車輌前面がボケます。
そこで、登場するのが、深度合成という手法です。フォーカス合成、多焦点合成、全焦点マクロ等とも呼ばれますが、ここでは深度合成と呼ぶことにします。英語では、Focus
stacking (Extended Depth of Field)と呼ばれるようです。
次の動画は、オリンパスのカメラを使った深度合成の解説ビデオです。
https://youtu.be/MCO5A8YeZ1Q
カメラ内で深度合成ができる機種が出てくるまでは、深度合成は、かなり面倒な作業でした。
1)カメラでピントの合う部分を少しずつずらした複数枚の画像を撮影
2)PCに取り込む
3)フォトショップなどのソフトで合成
模型命、フィギュア命という人には楽しい作業かもしれませんが、私のような怠け者には、試してみる気にもなれませんでした。
カメラにフォーカスブラケット機能が搭載されてからは、ピントを少しずつずらした画像を、カメラが自動的に撮影してくれるようになりました。しかし、その画像群をPCに取り込んで画像処理ソフトで合成するという手間は変わりませんでした。
カメラ内深度合成の出来る機種
この手間を省いてくれたのが、カメラ内で深度合成してくれるカメラの登場でした。
以下では、ガメラ内深度合成が可能な機種を紹介します。2017年2月27日時点の情報ですから、すぐに古くなってしまうでしょうが、一応、まとめておきます。
現在、カメラ内深度合成が可能な機種を発売しているのは、カシオ、オリンパス、パナソニックの3社です。
メーカー と機種 | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
カシオ | カシオは、深度合成を「全焦点マクロ」と呼んでいます。カシオのデジカメは動画のハイスピード撮影がウリです。全焦点マクロが使えるのは広角端のみです。 | |
ハイスピード | ZRシリーズの撮像素子は、1/2.3と1/1.7の2種類があります。画質は、1/1.7の方が良いはずです。 | 2万円から |
プレミアムハイスピード | EXシリーズの撮像素子は1/1.7のみです。 | |
オリンパス | 上の動画で紹介されていたOM-D E-M1の後継機種が出ています。 | |
E-M1Mark2 | たかが鉄道模型の撮影に20万円以上出せるかどうかは、懐具合と思い入れで決めて下さい。良いカメラであることは保証しますが、これからマイクロフォーサーズのレンズ沼にはまる覚悟が必要です。 | 20万円以上 |
STYLUS TG-4 Tough | 撮像素子は1/2.3。水中撮影も可能なタフなコンパクトデジカメ。顕微鏡モードでは、別売りのLEDライトガイド、フラッシュディフューザーを装着すると、本体のLED光やフラッシュ光をレンズ周辺に巡らせて、近接撮影で影が出るのを防げます。 | オプション込みで4万円台 |
パナソニック | パナソニックは、深度合成をフォーカス合成と呼んでいます。4K動画撮影の派生機能を使うので、800万画素の深度合成写真になります。深度合成するとそれより7%程少なくなりますが、それでも3570× |
|
GX7 MK2 | マイクロフォーサーズ(受光素子が4/3型)のレンズ交換式カメラ。一眼入門機。レンズ沼は覚悟。 | レンズとセットで8万円前後 |
FZH1 | 受光素子が1.0型の高倍率ズーム機。サイズはレンズ交換式一眼カメラとほぼ同じです。 | 軽く10万円超え |
LX9 | 受光素子が1.0型のコンパクトデジカメ。エクシリムよりやや大きいが、普段使いも出来る高画質カメラ。 | 8万円程度 |
G8 | ミラーレス一眼の中級機。G3を使っているので、私の現在の候補はこれ。 | 本体のみで10万円 |
パナソニックのLX9による深度合成の動画です。
パナソニックの深度合成
パナソニックのLumix DMC-G8の深度合成を実際に試したくて、梅田にあるグランドフロント大阪のルミックスステーション大阪へ行ってきました。
ルミックスステーションは、南側から入って前方左手にあります。HOのジオラマを置いて、その周囲にカメラを並べてあります。
パナソニックの深度合成は、4K(横約4000ドットで縦横比が16:9)動画の派生機能とも言うべきものです。まず、4Kサイズ(3840x2160)で、フォーカスブラケット撮影をします。AFポイントが7x7で49あるので、最大で49枚撮影することになります。
この49のフォーカスポイントから、焦点を合わせたい部分を選べば、カメラが自動合成して、以下のような写真ができます。すべてのAFポイントを選んで合成すると、30秒ほどかかります。
画像をクリックすると、オリジナルサイズ(3328x2496)の写真が表示されます。つまり、画像の縦横比が4:3になるのです。
合成のアルゴリズムのクセを掴めば、もう少し上手くできそうです。背景がゴチャゴチャしていると失敗しやすいようですね。
最終更新日 2017年02月28日火月曜日